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009 雑誌「G-men」対談記事

日ごろお世話になっている雑誌『G-men(ジーメン)』さんが、
2011年2月号で「青いモノクローム」を取り上げてくださいました。

編集長のGaGa・n・Bo(ガガンボ)氏との対談です。
出版社のご承諾のもと、内容を掲載させていただきます。







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小説『青いモノクローム』発刊記念
城平 海が語る「青いモノクローム」の世界
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GaGa:ご無沙汰しております。


城平:お久しぶりでーす。


G:さて、4冊めの小説単行本を発刊されるわけですが、今日はその「青いモノクローム」について色々とうかがわせていただきます。
今まで発刊された3冊の小説単行本と比べると、主要人物の年齢がグンと下がって(高校生)いますね。城平さんが本誌で発表されてきた作品も、大人が主人公のものばかりだったので、この作品はすごく新鮮でした。
高校生の物語を書こうと思われた理由を教えてください。



城:この作品を書くにあたっては、ゲイデビュー前の私自身を振り返ってみたい、一人悶々とし、クラスメートに密かに片想いしていた頃を描いてみたいと考えて構想を練りはじめました。まあ私が高校生だったのはウン十年前ですから、取り巻く状況はすっかり変わってますけどね。


G:城平さんにも、そんな時代があったんですね(笑)。いや、僕にだってありました。みんな若い時代は、想いを抱え込んでしまい、どうしていいのか分からないものですよね。それは時代が違っても共通のものだと思いますよ。
しかし、高校生といっても、2人とも一筋縄では行かない設定であるところが城平さんらしいと感じました。

この作品は沖縄が舞台です。前作の「ハテルマジャーニー」も冒頭とラストは沖縄が舞台でした。
といっても、波照間島と沖縄本島ではまったく違うとは思いますが。沖縄を舞台としてとりあげるのは、どのような理由からですか?



城:「一筋縄ではいかない2人」とおっしゃいましたが、我々みんなそうじゃないですか? 
育ってきた環境が当たり前だと思っていたのが、高校生になると別の町や知らない中学校から来た同級生と接して、自分の「当たり前」が当たり前でないことに気づく。そんな年頃だと思います。

沖縄を舞台にする理由ですが、サイズがちょうどいいんです。広くない島々だから人と人との関わりが濃くて、良くも悪くも島国気質が強い。日本という国全体も島国ですから、私たちの日常や感性をデフォルメして描くには最適な所なんですよ。
元々は琉球王国として大和とは別の歴史を持つ地域ですが、私はあくまで日本という国の縮図としてとらえています。


G:なるほど、日本全体が島国気質というのは、よく分かります。沖縄がその縮図だという発想は、斬新ですね。
私のように沖縄に遊びに行ったことがある程度の感覚だと、沖縄特有の文化に目を奪われてしまい、そこで暮らす人々のことまで慮ることができない傾向があると思います。

ところが、この作品ではあまり知ることのできない、沖縄の生活(風土)のある濃厚な面が描かれています。それが作品の芯にもなっていて、とても興味ぶかかったです。
同時に、沖縄出身ではない城平さんが、こういう深い面をどうして知ることができたのだろう? そこをお聞かせ願えますか?



城:私が知っていることなんて、まだ沖縄のごく一部ですよ。
それでもしいて理由を挙げるなら「出会い」でしょうね。

二十歳の頃に私を弟のように可愛がってくれた人、簡単に言えばセクフレですが、彼が沖縄出身で、当時は珍しかった沖縄料理を手作りしながら沖縄の生活を教えてくれました。また、最近まで付き合っていた相手も沖縄の出身で、彼からも「訪問者」の立場からは決して見えない、生々しい話を数多く聞かされました。

それと私が沖縄に行く時は長期の滞在が多いので、本音で話せる人が増えたこともあるでしょう。一見和やかに見える沖縄の人間関係の裏側を聞かされます。ホントに黒い話ばっかりで(笑)。ヨソ者だから後腐れがなくて話しやすいんだと思います。


G:なるほど、やはりその土地の人と深く関わらないと本質は見えてこないということですよね。たしかに遊びに行く「沖縄」は、楽しい場所だったり、癒される場所だったりしますが、沖縄に限らず、そこで暮らすとなると「訪問者」には見せないディープな面が姿を現すのでしょうね。

城平さんが沖縄に何年も通うようになったきっかけは、そのセクフレさんの影響が大きいのですか? また黒い面を知るようになっても、なお沖縄を愛していらっしゃるようにお見受けしますが、城平さんにとっての沖縄は、どのような場所ですか?



城:いやー、彼は沖縄を良く言わなかったですから、行く気は全然おきませんでした。通い始めたきっかけは二丁目某店のマスターに勧められたことです。それ以来、そのマスターが呆れるくらいズッポリとハマって今に至ってます。

黒い面を知っても、というか、知れば知るほど好きになりますね。素顔の沖縄をもっと見たいです。
とはいえ知ってしまった今では移住願望はありません。いい友人がたくさんいて、気候が穏やかで、食べ物が美味しい「居場所」、という感じでしょうか。


G:その土地の人でもなく、観光客でもない、独特のポジションで沖縄と接しているのですね。この作品では沖縄のディープな面が描かれながらも、ウエットな感情に流されること無く、どこかドライな印象がのこるのは、城平さんのスタンスゆえなのでしょうね。

さて、この作品では禁断の恋、援助交際、難病、複雑な血縁関係など、ケータイ小説も真っ青なくらい、刺激的な要素が詰まっています。しかし、それが盛り込み過ぎの満腹感ではなく、無理なく消化され物語として成立しています。
ともすれば破綻してもおかしくないほどの刺激的な要素を盛り込もうと思われたのは、どのような理由からですか?また、それを消化させるためのご苦労はありましたか?



城:消化しきれてますかねぇ。破綻ギリギリの所で踏みとどまっている感じ?
昼ドラも真っ青なドロドロ加減ですよね。

最初はオシャレで軽快な話を書くつもりだったんですよ。でも構想を練るうちに今まで出会った人たちの人生、言葉、そういうものがワーッと押し寄せてきて、書け、書け、と。追い立てられるように書いたのがこの作品です。
インパクトを狙って刺激的に造ったのでなく、現実を積み重ねてこの内容になったんです。うまく消化されているとすればそれが理由かも知れません。

ですから登場人物には実在のモデルがいます。複数のモデルを一人にまとめたり逆に分解したり、いろいろ手を加えましたけど。読む時にちょっとそこを思い出していただけたら嬉しいです。


G:一読者としては、消化されていると感じましたが、執筆されている時には、そんな状況だったのですね。生活者ではないにしても、城平さんが沖縄に関わり、深い愛情を抱いているがゆえに、押し寄せてくるものがあったのでしょうね。

今のお話をうかがった上で、もう一度読み返してみます。きっと、違う印象を受けるだろうなと思います。
では、最後に、読者のみなさんに一言、お願いで来ますか?



城:この小説は今この国で生きているゲイの方一人一人に宛てて書いた、私からの手紙のような作品です。どうしても投げかけたかったテーマです。若い二人の物語ですが、この中のどこかにあなた自身がいます。かつて17歳だった方ならどなたでも。
「買ってください」でなく「読んでください」というのが著者である私の偽らざる気持ちです。
よろしくお願いいたします。


G:ありがとうございました。


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プロフィール

きひら

Author:きひら
城平 海(きひら・かい)です。

ゲイ向けエロティック小説を書いています。
時たま「ゲイがいる日常」をテーマにした非エロ小説も。

告知や日常のあれこれをこちらに書きつけていこうと思います。

過去の作品は Kindle にて順次公開しています。
よろしくお願いします。
 

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